尹錫悦大統領弾劾審判決定文全文(4) + 言及された法条文
6. 国会に対する軍警投入に関する判断
A. 認定事実 (1) 軍隊を動員した国会進入及び国会議員を引っ張り出せという指示
(a) 被請求人の兵力投入指示
被請求人は、国防部長官の金龍顕にこの事件の戒厳宣布に関して、国会に軍隊を投入することを指示した。
(a) 被請求人の兵力投入指示
被請求人は、国防部長官の金龍顕にこの事件の戒厳宣布に関して、国会に軍隊を投入することを指示した。
(b) 陸軍特殊戦司令部所属軍人たちの国会進入
1) この事件の戒厳宣布の直前、金龍顕は陸軍特殊戦司令官の郭種根(クァク・ジョングン)に第707特殊任務団所属の軍人たちを国会に出動させることを指示し、第707特殊任務団所属の軍人97人はヘリに乗って国会に向けて出動した。被請求人は2024.12.3.23:40頃、郭種根に電話をかけ、国会に行く部隊がどこまで行ったのか聞き、郭種根はまだ移動中であると答えた。 第707特殊任務団所属の軍人たちは国会境内の運動場に到着した後、本館に移動して出入り口を確保しようし、彼らのうち16人は2024.12.4.00:33頃、国会本館の右側の窓ガラスを二つ割って本館内部に進入した。この事件の戒厳宣布の直後に出動指示を受けた第1空輸旅団所属の軍人170余り人も国会境内に進入した。国会職員、国会議員補佐官などは什器類を積み、消火器を噴射し、体で防ぐなどで彼らを阻止し、その過程で一部が負傷すると同時に、約6600万ウォン相当の物的被害も発生した。
2) この事件の戒厳宣布の直後から国会議長をはじめとする国会議員らは、非常戒厳解除要求案を審議するために国会本館内の本会議場に集まっていたところだった。被請求人は2024.12.4.00:30頃、郭種根に電話で「まだ議決定足数が満たされていないようだ。早く国会の門を壊して入り、中にいる人員たちを外に引っ張り出せ」と指示し、郭種根は第707特殊任務団長のキム・ヒョンテに「150人を超えたらダメだというが、入れないのか」のように言うなど、上記の指示を移行する方法を議論した。郭種根は非常戒厳解除要求決議案が可決されたと言う事実を確認した後、任務中止及び撤収を指示し、金龍顕の兵力追加投入指示でその頃国会境内に到着した100余り人の第707特殊任務団所属の軍人たちも直ちに撤収した。その結果、本会議場まで入った兵力はなかった。
3) 被請求人は郭種根に電話した事実はあるが、当時の状況を確認しただけで、国会議員を引っ張り出せという指示はしたことがないと主張する。また、上記の指示に関する郭種根の陳述に一貫性がないとし、信憑性に欠けるとも主張する。しかし、非常戒厳宣布の直後に行われた陸軍特殊戦司令部の隷下部隊らとのテレビ会議が終わった後にも郭種根のマイクがずっとついていたため、郭種根が被請求人の上記の指示を受けてキム・ヒョンテなどと議論する過程で行った発言が隷下部隊にそのまま伝播されていた点、郭種根及びキム・ヒョンテは国会出動時に「施設確保及び警戒」指示を受けた後、しばらく追加の指示がなく、具体的な任務を知ることができなかったということで、被請求人の上記の指示がなかったら、郭種根が突然キム・ヒョンテと「中に入って150人を超えないようにする方法」を議論する理由がない点、議決定足数という用語及び当時本会議場の中には多数の国会議員が存在し、軍人は存在しなかった事実などを考慮すれば、引っ張り出す対象は国会議員と解釈されるしかない点、郭種根は2024.12.9.の検察調査から証人審問が行われたこの事件の第6回弁論期日まで、被請求人の上記の指示の内容を一部の用語の違いがあるだけで、一貫して陳述していた点などに照らしてみると、被請求人の主張は信じ難い。
(c) 首都防衛司令部所属軍人たちの国会進入
1) この事件の戒厳宣布の直後、金龍顕は首都防衛司令官の李鎮雨(イ・ジンウ)に、隷下部隊を国会へ出動させることを指示した。李鎮雨は第1警備団及び軍事警察団所属の軍人たちを出動させながら、自分も国会に移動した。被請求人は李鎮雨が国会に到着した後、電話で状況を聞き、李鎮雨が国会の塀で多くの人々が警察と対峙していて、境内に進入し難いという趣旨で答えると、しばらくして再度電話で「中にいる人たちを引っ張り出せ」と言った。
2) 李鎮雨は2024.12.4.00:40頃の第1警備団長のチョ・ソンヒョンに「本館の内部に入って国会議員たちを外に引っ張り出せ」という指示をし、しばらく後には「もう陸軍特殊戦司令部所属の軍人たちが進入しているので、彼らが国会議員たちを引っ張り出せば、通路を形成するなど外部から支援する役割を遂行せよ」と指示した。チョ・ソンヒョンは上記の任務が正当でないと考え、国会境内に入った軍人たちには人がいない地域にそのまま集結していることを、国会に移動中だった後続部隊にはソガン大橋を渡らずに待つことをそれぞれ指示した。チョ・ソンヒョンは非常戒厳解除要求決議案が可決された後、李鎮雨に撤収を建議し、李鎮雨はこれを承認した。当時に国会へ出動した首都防衛司令部所属の軍人は計210余り人で、その中で境内に進入した人員は計48人だった。
3) 被請求人は李鎮雨に電話した事実はあるが、当時の状況を確認した後、警察に話せば国会の塀の中に入れるという事実を知らせただけで、国会議員を引っ張り出せと指示した事実はないと主張する。しかし、李鎮雨が被請求人と通話する間、同じ車両の前席に座っていた李鎮雨の専属副官が通話内容をほどんど聞けた点、李鎮雨は金龍顕から具体的な任務なしに国会に行けという指示のみを受け、一応首都防衛司令部の本来の任務である核心施設の「外郭」を警戒しようとしたというところ、被請求人の上記の指示がなかったら李鎮雨が突然チョ・ソンヒョンに建物の「内部」に進入して国会議員を引っ張り出すよう指示をする理由がない点などに照らしてみると、被請求人の上記の主張は信じ難い。
(2) 警察を動員した国会出入統制
(a) 被請求人は2024.12.3.19:20頃、警察庁長の趙志浩(チョ・ジホ)、ソウル特別市警察庁長の金峰植(キム・ボンシク)をソウル・鍾路区所在の大統領安全家屋に呼び、今夜非常戒厳を宣布するとしながら、軍人たちが国会を含む色々な所に出るだろうが、警察が国会統制もよくしてくれと言った。一緒に座っていた金龍顕は被請求人が見る中で趙志浩、金峰植にA4用紙1枚の文書を渡したが、該当文書には軍人の出動時刻と出動場所を意味する「2200国会、2300民主党本部」などのような記載があった。
(b) 趙志浩と金峰植は警察300余り人を国会の塀の周りに配置し、2024.12.3.22:48頃から出入りを全面的に遮断するようにした。しかし、国会議員の出入統制に対する抗議を受けることになると、憲法上の国会の戒厳解除要求権などを確認した後、この事件の戒厳宣布だけでは根拠か足りないという判断の下で、同日23:06から国会議員・補佐官・国会職員・出入記者など国会常時出入者は身分確認を経て出入りできるようにした。
同日23:23頃、この事件の布告令が発令された。被請求人はその頃、戒厳司令官の朴安洙に電話して趙志浩にこの事件の布告令の内容を知らせるように言い、朴安洙は電話でこれを趙志浩に知らせた。被請求人も直接趙志浩に6回電話をかけた。趙志浩と金峰植はこの事件の布告令に国会の活動禁止、布告令違反者処断などの内容があることを確認した後、同日23:37頃から2024.12.4.01:45頃まで約2時間8分間、国会出入を再度全面的に遮断するようにした。その間に国会投入警力は次第に増員され、最終的には1700余り人の警察が動員された。上記のような出入遮断により、非常戒厳解除要求決議案を審議するために国会に集まっていた国会議長及び国会議員の一部は塀を越えなければならなかったか、最初から入れず、国会本会議の開催も遅れた。
(c) 被請求人は警察に国会議員の出入を統制するようにした事実がなく、むしろ金龍顕には出入りを防がないよう指示したと主張する。しかし、被請求人は趙志浩、金峰植を大統領安全家屋に呼び国会の統制をよくしてくれと言った点、その場で金龍顕が絵を描きながらどこに警力をは配置するか説明することを見たと自ら認める点、被請求人は朴安洙に国会の活動禁止が含まれたこの事件の布告令を趙志浩に知らせるように言った点、趙志浩が戒厳解除要求権などを認知して国会議員の出入りは許容した状況で再度出入りを遮断する特別な理由を探し難い点などに照らしてみると、被請求人の主張は信じ難い。
(3) 主要政治家などに対する位置確認試み
(a) 被請求人は2024.12.3.20:22頃、国家情報院1次長の洪壮源(ホン・ジャンウォン)に電話で「1、2時間後に電話することがあるかもしれないので、秘話フォンをよく持っていなさい」とし、同日22:53頃、再び電話をかけ、非常戒厳の発表を見たかのと言い、これを機に国家情報院にも対共捜査権を与えるから、まず資金であれ人力であれ、国軍防諜司令部を手伝って支援せよという趣旨で話した。金龍顕はこの事件の戒厳宣布の直後、国軍防諜司令官の呂寅兄(ヨ・インヒョン)に計14人の名簿(以下「この事件の名簿」という)を知らせながら「布告令を違反する恐れがある人たちで、合同捜査本部が設置された後、違反の疑いが発見されれば逮捕することもできるので、予め位置など動向を把握しておけ」と指示した。この事件の名簿には国会議長の禹元植(ウ・ウォンシク)、共に民主党代表・国会議員の李在明、国民の力代表の韓東勲(ハン・ドンフン)、祖国革新党代表の曺国(チョ・グク)、共に民主党院内代表・国会議員の朴賛大(パク・チャンデ)、前最高裁判所長の金命洙(キム・ミョンス)、前最高裁判官の権純一(クォン・スンイル)などが含まれていた。
(b) 呂寅兄は趙志浩にこの事件の名簿とほとんど一致する名簿を呼びながら位置確認を要請した。洪壮源は同日22:58頃及び23:06頃、呂寅兄に電話して一部始終を尋ねたが、呂寅兄はまともに答えずにいたが、洪壮源が被請求人から国軍防諜司令部を支援せよという電話を受けたと言うと、当時の状況を説明し、この事件の名簿とほとんど一致する名簿を呼びながら位置確認を要請した。趙志浩と洪壮源は呂寅兄の要請に協調せず、国会に出動した10組、計49人の国軍防諜司令部署おくの軍捜査官たちは国会の塀の外で待機していたが、非常戒厳解除要求決議案が可決されると、全員撤収した。このため、この事件の名簿の人たちに対する位置確認は実際には行われなかった。
(c) 被請求人は誰にもこの事件の名簿と関連する指示をしたことがないと主張する。特に被請求人は洪壮源と2回にわたって通話した事実はあるが、1回目の通話は国家情報院長の趙太庸が海外出張中だと誤認して国家情報院をよく管理せよという趣旨でしたことで、2回目の通話は洪壯源が被請求人の外遊のときに警護を手伝ったことに対する激励の次元で電話し、戒厳と関係なくスパイ捜査業務と関連して国軍防諜司令部を支援せよという趣旨だったと主張する。
しかし、被請求人が洪壮源に2024.12.3.1回目の通話で1、2時間後に電話することがあるかもしれないので待機せよと指示した後、この事件の戒厳宣布の直後に再度電話をした点、被請求人は呂寅兄と洪壮源が陸軍士官学校の先・後輩関係であって特別に洪壮源に国軍防諜司令部支援に関して言及したと言う点、被請求人は海外出張中だと思っていた趙太庸をこの事件の戒厳宣布の直前に大統領室で会い、洪壮源との2回目の通話の直後、趙太庸とも通話したが、趙太庸には特別な指示がなかったとする点などを考慮すれば、被請求人は最初から洪壯源に戒厳状況で国軍防諜司令部に付与された任務に関する特別な用件を伝えようとしたものと見るのが相当であり、戒厳宣布直後の急迫した状況で単なる激励の次元又はスパイ捜査業務に関する一般的指示をしようとしたものだったという被請求人の主張は信じ難い。
むしろ洪壮源との通話で言及を躊躇していた呂寅兄が被請求人の電話を受けたと言う話を聞いてから状況を説明しながら位置確認を要請した事実、被請求人が国軍防諜司令官の呂寅兄、国家情報院1次長の洪壮源、警察庁長の趙志浩を全部指揮できる位置にあった事実などに照らせば、布告令違反の恐れがあると言う点を挙げ、必要時に逮捕する目的でこの事件の名簿に含まれた人たちの位置を確認するようにした金龍顕の指示が被請求人の意思と関係なくなされたとは見難い。
B. 判断
(1) 憲法第77条第5項、代議民主主義など違反の有無及び国会議員の不逮捕特権など侵害の有無
(a) 我が国の憲法は自由民主的基本秩序の保護をその最高の価値とし、これを具現するために立法権は国会(憲法第40条)に、行政権は大統領を首班とする政府(憲法第66条第4項)に、司法権は法官で構成された法院(憲法第101条第1項)にそれぞれ属させる権力分立原則を取っている(憲法裁1994.4.28. 89憲マ221参照)。代議民主主義で国会は主権者である国民が選出した国会議員で構成された国民の代表機関として、立法機能・政府監督機能・財政に関する機能などを遂行し(憲法裁2003.10.30. 2002憲ラ1参照)、このような国会の機能は、主に国民の政治的意思が収れん・議論される公的な場所である国会本館内の本会議場で国会議員による審議・表決権行使で実現される。
(b) 一方、憲法第77条第5項は、国会が在籍議員の過半数の賛成で戒厳の解除を要求したときは、大統領はこれを解除しなければならないと規定することで、大統領の戒厳宣布権の乱用を統制できる権限を国民の代表機関である国会に付与しているため、非常戒厳が宣布された場合にも国会の権限を制限することはできないと見なければならない。そうでなければ、大統領が非常戒厳を宣布することで、憲法による国会の統制権限を有名無実にしかねないからである。同じ趣旨で、行政権の不当な単圧から国会議員の活動を保障するために憲法第44条第1項で「国会議員は現行犯人である場合を除いては、会期中国会の同意なく逮捕又は拘禁されない」と規定した国会議員の不逮捕特権は、戒厳法第13条で「戒厳施行中、国会議員は現行犯人である場合を除いては、逮捕又は拘禁されない」と規定することで会期中であるかどうか及び国会の同意有無と関係なく、より一層強化された形態で保障されている。
(c) にもかかわらず、被請求人は軍警を投入して国会議長及び国会議員が国会に自由に出入することを妨害する一方、彼らを引っ張り出せと指示することで、戒厳解除要求権をはじめとする国会の権限行使がきちんと行われないようにしようとした。 被請求人のこのような行為は、国民の代表機関である国会に戒厳解除要求権を付与した憲法第77条第5項を違反しただけでなく、国会が本来の機能を忠実に実現できないようにすることであり、代議民主主義と権力分立原則に正面から反し、国民の代表である国会議員の審議・表決権など憲法上の権限及び戒厳の状況で特別に重要な意味を持つ国会議員の不逮捕特権を侵害したことである。
(2) 政党活動の自由侵害の有無
(a) 政党は国民と国家の仲介者として政治的導管の機能を遂行し、国民の多元的意思を形成・統合することで、国家政策の決定に直接影響を及ぼしうる規模の政治的意思を形成している(憲法裁2020.5.27. 2019憲ラ1参照)。これに対し、憲法第8条第1項は政党設立の自由を明示的に規定しているところ、政党の設立だけが保障されるだけで、その活動が任意に制限されることができれば、政党設立の自由は事実上に何の意味もなくなるので、上記の条項は政党活動の自由を含む政党の自由を広範囲に保障するものと言える(憲法裁2004.12.16. 2004憲マ456; 憲法裁2014.1.28. 2012憲マ431など参照)。
(b) 党代表、院内代表などの政党機関の活動は政党自身の活動であるため、当然憲法的に保障されるべき政党の活動と見ることができる(憲法裁2024.12.19. 2013憲ダ1参照)。政党所属の国会議員は、基本的に国民全体の代表者としての地位を持つが、政党民主主義の発展に伴って所属政党の公認を受けてその支援や背景の下で当選し、政治意思の形成においても事実上政党の規律や党論などの影響を受けるようになり、政党の理念を代弁する地位も共に持つようになったところ(憲法裁2014.12.19. 2013憲ダ1; 憲法裁2020.5.27. 2019憲ラ1参照)、彼らの活動も一定部分、政党の活動になりうる。
(c) 金龍顕はこの事件の戒厳宣布の直後、布告令の恐れがあるという点を挙げ、必要時に逮捕する目的で各政党の代表及び院内代表などに対する位置確認を指示したところ、前述したように上記の支持は被請求人の意思と関係なくなされたとは見難い。これは各政党所属の国会議員を含む党員に対し、相当な影響力を行使することができる上記の人々の活動を制約することで、各政党の活動も制約しようとする意図を持つ行為と見られる。したがって、被請求人の上記のような行為は、政党活動の自由を侵害したことである。
(3) 憲法による国軍統帥義務など違反有無
前述したように、被請求人は国会の憲法上の権限行使を防ぎ、政党の活動を制約しようとする政治的目的で国会に兵力を投入し、本会議場から国会議員らを引っ張り出せと指示し、主要政治家に対する位置確認指示に関与した。
普段、戦時のような非常状況を前提に訓練してきた軍人たちは、この事件の戒厳が宣布され、出動指示が下されると、個人火器などを所持して国会へ出動した。しかし、軍人たちが直面したのは敵ではなく、一般市民であり、一般市民を相手に積極的に武力を行使することができなかった軍人たちは、上記のような指示を履行できなかった。憲法制定権者である国民は我が国の憲政史において、二度と軍の政治介入を繰り返さないため、軍の政治的中立性を憲法に明示したが、国軍統帥権者である被請求人が政治的目的でその権限を乱用したことにより、国家の安全保障と国土防衛の神聖な義務を遂行することを使命とし、国のために奉仕してきた軍人たちが再び一般市民と対峙する状況が発生するようになったのである。
それなら、被請求人は国軍の政治的中立性に反して国軍統帥権を行使したので、憲法第5条第2項及び第74条第1項を違反した。
(4) 被請求人の主張に対する判断
(a) 被請求人はこの事件の戒厳宣布のニュースを接した国会関係者及び市民が大挙集まることに備え、「秩序維持」の目的で国会に兵力を投入したと主張する。
(b) 被請求人はその根拠として、金龍顕に「戒厳が宣布された後、幹部を中心に構成された280人のみを、実弾を支給せずに」投入しよう指示し、非常戒厳解除要求決議案が可決されるや否や、直ちに兵力を撤収せよとと指示した点を挙げている。
しかし被請求人が主張する指示内容は、郭種根、李鎮雨、呂寅兄のうち誰も伝達された事実がない。むしろ彼らは、この事件の戒厳宣布の数日前から対備態勢を整えることを指示され、この事件の戒厳宣布の前にすでに出動指示を受けた部隊もあった。被請求人が言及した280人は、非常戒厳解除要求決議案の議決の直前まで国会境内に進入した陸軍特殊戦司令部所属の軍人270余り人を指すものと見られるが、被請求人は首都防衛司令部所属の軍人たちに国会境内に進入するよう電話するなど、280人だけの投入を念頭に置いてはいなかったものと見られる。
それなら、被請求人は国軍の政治的中立性に反して国軍統帥権を行使したので、憲法第5条第2項及び第74条第1項を違反した。
(4) 被請求人の主張に対する判断
(a) 被請求人はこの事件の戒厳宣布のニュースを接した国会関係者及び市民が大挙集まることに備え、「秩序維持」の目的で国会に兵力を投入したと主張する。
(b) 被請求人はその根拠として、金龍顕に「戒厳が宣布された後、幹部を中心に構成された280人のみを、実弾を支給せずに」投入しよう指示し、非常戒厳解除要求決議案が可決されるや否や、直ちに兵力を撤収せよとと指示した点を挙げている。
しかし被請求人が主張する指示内容は、郭種根、李鎮雨、呂寅兄のうち誰も伝達された事実がない。むしろ彼らは、この事件の戒厳宣布の数日前から対備態勢を整えることを指示され、この事件の戒厳宣布の前にすでに出動指示を受けた部隊もあった。被請求人が言及した280人は、非常戒厳解除要求決議案の議決の直前まで国会境内に進入した陸軍特殊戦司令部所属の軍人270余り人を指すものと見られるが、被請求人は首都防衛司令部所属の軍人たちに国会境内に進入するよう電話するなど、280人だけの投入を念頭に置いてはいなかったものと見られる。
なお、国家に出動した軍人たちは主に対テロ作戦の遂行を本来の任務として遂行していたところ、国家重要施設で普段から徹底した警備になっている国会に対して、単に秩序維持だけを目的で本来の警備人力及び追加された警力を超え、これらの軍人たちまで投入させたという主張は納得し難い。また、被請求人は具体的な任務を指示しないことで、彼らが実際の非常状況を前提に用意されたマニュアル通りに行動することを容認したところ、実弾の支給を禁じ、又は兵力を撤収したのはすべて被請求人の指示によるものではなく、軍人自らが状況判断により自主的に決定したものであった。
(c) むしろ被請求人は、兵力投入で国会の戒厳解除要求権行使を妨害することで、この事件の戒厳とこれに伴うこの事件の布告令の効力を相当機関持続させようとしたものと見られる。
金龍顕は国会の塀の外郭は警察が、国会本館の外郭は首都防衛司令部が、国会本館内部は陸軍特殊戦司令部がそれぞれ担当し、統制する計画を立てた。被請求人は兵力が国会に到着する前までは、国会内の他の建物にいた国会議員たちが本館に十分行くことができ、警察も塀から国会議員を入れたと聞いていたとしているところ、これは国会に兵力が到着した後には上記の計画通り国会議員の本館出入を遮断しようとしたことを推断させる。しかし、上記の計画通りの出入遮断が行われず、非常戒厳解除要求決議案の議決が迫ると、議決定足数が満たされないように本会議場にいる国会議員たちを引っ張り出せという指示をしたものと見られる。
被請求人は戒厳解除に少なくとも数日かかると予想したのにそれより早く終わったと自認しており、金龍顕はこの事件の戒厳が解除された後に開催された全軍主要指揮官会議で「我が軍が被請求人の命を受け任務を遂行したが、衆寡適せず望む結果にはならなかった」と発言したが、これを見ても被請求人の兵力投入の目的が単に秩序維持に止まったわけではなかったことが分かる。
(d) 延いてはこの事件の戒厳宣布の直後、企画財政部長官の崔相穆が大統領室から受けた文書には、「国会関連の各種補助金、支援金、各種賃金など現在運用中の資金を含めて完全に遮断すること、国家非常立法機構関連の予算を編成すること」という内容があった。
被請求人は該当文書の作成及び伝達に関与した事実がないと主張するが、金龍顕は被請求人から戒厳の主務部処の長官として関係部処に協力を求めるように指示を受けて上記の文書を作成したとしている点、該当文書には「予備費を早いうちに十分確保して報告すること」という内容もあるが、企画財政部長官が報告をする対象は大統領である被請求人と見るのが相当であるという点、外交部長官の趙兌烈、趙志浩、金峰植もあの日、別途の文書を受けたが、趙兌烈はこれを被請求人から受け、趙志浩と金峰植は前述したように被請求人が見る中で金龍顕から受けた点などに照らしてみると、被請求人の上記の主張は信じ難い。
また、被請求人は該当文書の内容に対し、国会を通じて政治的目的で支給される金銭を遮断せよとか、緊急財政経済命令を発令するために企画財政部傘下の機構関連の予算を編成せよという意味に過ぎないと主張する。しかし、このような意味で解釈することは該当文言の通常の用例からかなり外れている点、賃金を含めて国会関連運用資金を完全に遮断せよという内容を国会以外の団体とのみ関連したものとは見られない点、被請求人は民生及び経済活性化などのための政府推進法案が野党の反対で国会で通過していない状況を打開する方法の一つとして緊急財政経済命令を考えてきたというところ、緊急財政経済命令は国会の集会を待つ余裕がない時に限ってできる点(憲法第76条第1項)などに照らしてみると、被請求人の主張を納得し難い。
(e) 一方、被請求人は秩序維持目的の兵力投入が国会に対してもできるのは、非常戒厳が宣布されれば戒厳司令官が行政事務を管掌するためであるとか、集会・結社に対する特別な措置をすることができるためであると主張する。
戒厳法第7条第1項は、「非常戒厳の宣布と同時に、戒厳司令官は戒厳地域のすべての行政事務と司法事務を管掌する」と規定している。上記の条項の根拠となる憲法第77条第3項は非常戒厳宣布時、「法律の定めるところにより、政府と法院の権限に関して特別な措置をすることができる」と規定するところ、特別な措置の対象となる政府や法院をいくら広く解釈するとしても、ここに国会が含まれることはできない。これは前述したように、憲法第77条第5項で国会に戒厳解除要求権を付与した趣旨、戒厳法第13条で戒厳施行中に国会議員の不逮捕特権を強化して保障した趣旨などに照らしてみてもそうである。したがって、国会の事務は戒厳司令官が管掌できず、この事務が国会内の行政事務の性格を持っていても同じである。
しかし国会法によると、会期中に国会の秩序を維持するための国会境内の警護権は国会議長に属するものであり(第143条)、国会議長が警護のために警察公務員の派遣を要求する場合にも会議場の建物内の警護業務は国会所属の警衛に専属される(第144条)。何人でも国会議員が会議に出席するために会議場に出入することを妨害してはならず(第148条の3)、会議長には国会議員、国務総理、国務委員及び政府委員、その他に議案審査に必要な者と国会議長が許可した者以外は出入できない(第151条)。このように会期中に国会境内の秩序維持業務はあくまでも国会の事務であり、憲法第77条第3項による特別な措置の対象になれず、戒厳法第7条第1項によって戒厳司令官が管掌する事務と見ることもできない。
同じ趣旨で、戒厳法第9条第1項によると、戒厳司令官は非常戒厳地域で軍事上に必要なとき、集会・結社に対して特別な措置をすることができるが、会期中の国会境内の秩序維持のためという名目ではこれを行うことができない。
(f) 以上のように、「秩序維持」の目的で国会に兵力を投入したという被請求人の主張は受け入れられない。
(5) 小結
それなら、被請求人は軍警を投入して国会議長及び国会議員らが国会へ自由に出入することを統制する一方、彼らを引っ張り出せと指示し、戒厳解除要求権をはじめとする国会の権限行使がまともに行われないように妨害し、必要時に逮捕する目的で行われた各政党代表などに対する位置確認指示に関与することで、 憲法第5条第2項、第74条第1項、第77条第5項及び代議民主主義、権力分立原則を違反すると同時に、 国会議員の審議・表決権及び不逮捕特権など憲法上の権限を侵害し、政党活動の自由も侵害した。
7. この事件の布告令発令に関する判断
A. 認定事実
(1) 国防部長官の金龍顕は被請求人が早いうちに非常戒厳を宣布することに備え、2017年の戒厳文書に添付された2017年布告文及び1979.10.27.戒厳布告第1号など昔の軍事政権の時の例文を参考し、この事件の草案を作成しておいた。被請求人が2024.12.1.頃、金龍顕に非常戒厳をするようになれば必要なものは何かと尋ねると、金龍顕は予め準備しておいたこの事件の布告令草案などを被請求人に布告し、被請求人は国会に不便を与える憂慮があり、事態に適合しないという理由で夜間通行禁止の条項を削除することを指示した。金龍顕は2024.12.2.頃、被請求人の指示によって修正したこの事件の布告令の草案などを被請求人に報告し、被請求人はこれを承認した。
(2) 戒厳司令官の朴安洙は2024.12.3.22:30頃、戒厳司令官に任命された後、金龍顕からこの事件の布告令の草案を受けた。朴安洙はこの事件の布告令の草案を読んだ後、金龍顕に法的な検討が必要なようだと話したが、金龍顕はもう検討を受けたものだからそのまま発令せよと言った。これに従い、朴安洙は金龍顕の指示によって22:00から23:00に直した後、2024.12.3.23:17頃、この事件の布告令に署名し、23:23頃これを発令した。この事件の布告令の内容は「別紙4」と同じ。
B. 判断
(1) この事件の布告令の法的性格及び効力
この事件の布告令は、戒厳法第9条第1項、第14条第2項の内容を補足する機能をし、それと結合して対外的に拘束力のある法規命令として効力を持つ(最高裁2018.11.29.宣告 2016ド14781判決参照)。したがって、この事件の布告令が発令され次第、すべての国民は一切の政治活動などこの事件の布告令が禁じる行為をしてはならない義務を負うことになり、その義務を違反する場合、令状なしに逮捕・拘禁・押収・捜索を受けることができ、戒厳法第14条第2項により3年以下の懲役に処されることになる。
被請求人は、単に戒厳の形式を整えるために象徴的にこの事件の布告令を発令したのであって、これを執行する意思がなく、上位法と抵触する素地があって執行することもできなかったと主張する。しかし、被請求人がこの事件の戒厳を宣布すると、追加的な措置がなくても直ちに非常戒厳の効力が発生するので、戒厳の形式を整えるためにこの事件の布告令を発令する必要はない点、被請求人がこの事件の布告令が執行されないと考えたなら、夜間通行禁止の条項を削除する必要がなく、国民に不便を与える憂慮があり時代に適合しないという理由で夜間通行禁止の条項を削除したということは、むしろ残りの条項の効力発生及び執行を容認したと見ることができる点、被請求人は国会の反国家的な活動を禁止するためにこの事件の布告令に国会の活動を禁止する内容を含めたとも主張している点、被請求人はこの事件の布告令が発令される頃、戒厳司令官の朴安洙に電話し、警察庁長の趙志浩に直接6回にわたって電話した点、金龍顕はこの事件の第4回弁論期日で、この事件の布告令が効力があるので実際に執行しようとし、当然そうするのが正しいと考えると証言した点などに照らせば、これを信じ難い。
(2) 憲法第77条第5項及び代議民主主義など違反有無
被請求人は国会との対立状況を打開するために、この事件の布告令を通じて国会の活動を全面的に禁止した。これは国会に対する国会投入と同様に国民の代表機関である国会に戒厳解除要求権を付与した憲法第77条第5項を違反したことだけでなく、代議民主主義と権力分立の原則に明白に反し、国民の代表である国会議員の審議・表決権など憲法上の権限を侵害したことである。
被請求人は、国会の解散を命じ、又は国会の非常戒厳解除要求決議案の議決のための議政活動など正常的な活動を禁止しようとすることではなく、反国家的な活動を禁止するために上記のような布告令を発令させたと主張する。しかし、この事件の布告令は、「単に国会の活動を禁じる」と規定しており、国会のすべての活動を禁止すると解釈される。また、被請求人は反国家的行為とは国益を害し、国の危機を招く一切の行為として、非常戒厳宣布の実体的要件違反有無の部分で見た国会の立法権行使及び予算削減などがすべてこれに該当すると主張する。しかし国会の立法権行使及び予算削減などは禁法と法律に基づいた国会の権限行使であるので、被請求人の主張によってもこの事件の布告令は事実上、国会のすべての活動を禁止するも同然である。したがって、被請求人の上記の主張は受け入れられない。
(3) 地方自治の本質的内容侵害の有無
憲法第117条と第118条によって制度的に保障される地方自治は、主権の地域的主体としての住民による自己統治の実現のためのものであり、地方自治の本質的内容である核心領域はどのような場合でも立法その他の中央政府の侵害から保護されなければならない(憲法裁2014.6.26. 2013憲バ122参照)。憲法が直接規定した地方自治団体の機関である地方議会は、地域住民が選出した地方議会議員で構成された住民の代表機関として、地方行政事務と法令の範囲内での地方自治団体の意思を決定し、地方行政事務に関する条例を制定し、執行機関の業務を監視・監督する役割を果たす(憲法裁2008.6.26. 2005憲ラ7参照)。地方自治団体の存在自体を否認し、又は各種の権限を抹殺することは、地方自治の本質的内容を侵害することである(憲法裁2001.11.29. 2000憲バ78参照)。
被請求人はこの事件の布告令を通じて地方議会の活動を全面的に禁止したので、これは地方自治の本質的内容を侵害したのである。 被請求人は地方議会の活動も反国家的な活動のみを禁止したと主張するが、そのような主張を受け入れられないことは、国会活動禁止の部分で見たのと同じである。
(4) 憲法第8条違反有無
前述したように、憲法は今日の代議民主主義において、政党が持つ意義と機能を考慮して政党制度を採択し、政党活動の自由を含む政党の自由を広範囲に保障している。
被請求人はこの事件の布告令を通じてすべての政党の活動を全面的に禁止した。これは政党活動の自由を侵害しただけでなく、憲法が保障している政党制度それ自体を否認することで、憲法第8条を違反したことである。
(5) 国民主権主義及び自由民主的基本秩序違反の有無
我が国の憲法の全文と本文全体に含まれている最高理念は、国民主権主義と自由民主主義に基づく立憲民主憲法の本質的基本原理に基づいている。その他の憲法上の様々な原則もここに由来するので、これは憲法をはじめとするすべての法令解釈の基準となり、立法形成権行使の限界と政策決定の方向を提示し、延いてはすべての国家機関と国民が尊重し、守らなければならない最高の価値規範である(憲法裁1989.9.8. 88憲ガ6参照)。
主権者たる国民が自分の政治的な考えを表現し、又は合法的な集会とデモを通じて説破するのは国家の安全に対する脅威ではなく、我が国の憲法の根本理念である「自由民主的基本秩序」の核心的な保障領域に属することである。政府への批判に対し、合理的な広報や説得で対処するのではなく、批判そのものを根本的に排除しようとする公権力の行使や規範の制定は大韓民国憲法が予定している自由民主的基本秩序に合致しないため、その正当性を付与できない(憲法裁2013.3.21. 2010憲バ132など参照)。
被請求人はこの事件の布告令を通じて、国会の活動を禁止することからさらに進み、一般国民の政治的基本権、言論・出版・集会・結社の自由などを包括的・全面的に制限し、その行使を犯罪行為と規定した。これは、上記のような基本権の行使を許容すれば、国会との対立状況を打開することに支障を来すという判断の下で、一般国民の批判そのものを根本的に排除するために行われた措置なので、憲法の根本原理である国民主権主義と自由民主的基本秩序を違反したのである。
(6) 憲法第77条第3項及び戒厳法第9条第1項違反の有無
(a) 憲法第77条第3項は非常戒厳が宣布されたときは、法律が定めるところにより令状制度、言論・出版・集会・結社の自由に関して特別な措置をすることができると規定している。これに従い、戒厳放第9条第1項は非常戒厳地域で軍事上に必要なときは、戒厳司令官が国民の基本権を制限する特別な措置をすることができるようにしながら、その対象を逮捕・拘禁・押収・居住・移転・言論‘出版‘集会・結社又は団体行動に限定している。
被請求人はこの事件の布告令を通じて地方議会の活動を全面的に禁止したので、これは地方自治の本質的内容を侵害したのである。 被請求人は地方議会の活動も反国家的な活動のみを禁止したと主張するが、そのような主張を受け入れられないことは、国会活動禁止の部分で見たのと同じである。
(4) 憲法第8条違反有無
前述したように、憲法は今日の代議民主主義において、政党が持つ意義と機能を考慮して政党制度を採択し、政党活動の自由を含む政党の自由を広範囲に保障している。
被請求人はこの事件の布告令を通じてすべての政党の活動を全面的に禁止した。これは政党活動の自由を侵害しただけでなく、憲法が保障している政党制度それ自体を否認することで、憲法第8条を違反したことである。
(5) 国民主権主義及び自由民主的基本秩序違反の有無
我が国の憲法の全文と本文全体に含まれている最高理念は、国民主権主義と自由民主主義に基づく立憲民主憲法の本質的基本原理に基づいている。その他の憲法上の様々な原則もここに由来するので、これは憲法をはじめとするすべての法令解釈の基準となり、立法形成権行使の限界と政策決定の方向を提示し、延いてはすべての国家機関と国民が尊重し、守らなければならない最高の価値規範である(憲法裁1989.9.8. 88憲ガ6参照)。
主権者たる国民が自分の政治的な考えを表現し、又は合法的な集会とデモを通じて説破するのは国家の安全に対する脅威ではなく、我が国の憲法の根本理念である「自由民主的基本秩序」の核心的な保障領域に属することである。政府への批判に対し、合理的な広報や説得で対処するのではなく、批判そのものを根本的に排除しようとする公権力の行使や規範の制定は大韓民国憲法が予定している自由民主的基本秩序に合致しないため、その正当性を付与できない(憲法裁2013.3.21. 2010憲バ132など参照)。
被請求人はこの事件の布告令を通じて、国会の活動を禁止することからさらに進み、一般国民の政治的基本権、言論・出版・集会・結社の自由などを包括的・全面的に制限し、その行使を犯罪行為と規定した。これは、上記のような基本権の行使を許容すれば、国会との対立状況を打開することに支障を来すという判断の下で、一般国民の批判そのものを根本的に排除するために行われた措置なので、憲法の根本原理である国民主権主義と自由民主的基本秩序を違反したのである。
(6) 憲法第77条第3項及び戒厳法第9条第1項違反の有無
(a) 憲法第77条第3項は非常戒厳が宣布されたときは、法律が定めるところにより令状制度、言論・出版・集会・結社の自由に関して特別な措置をすることができると規定している。これに従い、戒厳放第9条第1項は非常戒厳地域で軍事上に必要なときは、戒厳司令官が国民の基本権を制限する特別な措置をすることができるようにしながら、その対象を逮捕・拘禁・押収・居住・移転・言論‘出版‘集会・結社又は団体行動に限定している。
憲法第77条第1項及び戒厳法第2条第2項が規定した非常戒厳宣布の要件に照らしてみると、戒厳法第9条第1項で定めた「軍事上に必要なとき」は戦時・事変又はこれに準ずる国家非常事態で、敵と交戦状態にあり、又は社会秩序が極度に撹乱され、行政及び司法機能の遂行が顕著に困難な状態が現実的に発生して警力だけでは到底非常事態の収拾が不可能であり、兵力を動員してそのような状況に至った直接的な原因を取り除くことが必ず必要となったときを意味する(最高裁2018.11.29.宣告 2016ド14781判決参照)。また、憲法上の国家緊急権の認定趣旨及び戒厳司令官の特別な措置が国民の基本権を制限する点を考慮すれば、特別な措置は危機状況の直接的な原因を取り除くことに必要不可欠な最小限度内でのみ取られる(憲法裁1996.2.29. 93憲マ186; 憲法裁2015.3.26. 2014憲ガ5参照)。
(b) 前述したように、この事件の戒厳宣布の当時、戦時・事変又はこれに準ずる国家非常事態が発生し、又は社会秩序が極度に撹乱され、行政及び司法機能の遂行が顕著に困難な状態が発生したと見ることもできないので、戒厳法第9条第1項で定めた「軍事上に必要なとき」に該当するとも言えない。それにも関わらず、被請求人はこの事件の布告令を通じて国民の基本権を制限したので、戒厳法第9条第1項を違反した。
(c) また、戒厳法第9条第1項は戒厳司令官の特別な措置の対象を「逮捕・拘禁・押収・捜索・居住・移転・言論・出版・集会・結社又は団体行動」に限定している。しかし、被請求人はこの事件の布告令を通じて国会と地方議会、政党の活動と一切の禁止することで、政治的基本権、政党の自由を制限し、医療現場を離脱したすべての医療人に48時間内に本業に復帰させることで、職業の自由も制限した。したがって、被請求人は戒厳法第9条第1項が規定していない憲法上権利又は自由を制限したという点でも上記の条項を違反したことである。
(d) この事件の布告令は国会、地方議会及び政党の活動を全面的に禁じ、一切の政治活動を禁じ、すべての言論と出版が戒厳司令部の統制を受けるようにし、社会混乱を助長するストライキ・怠業・集会を全面的に禁じ、すべての医療関係者に48時間内に本業に復帰して勤務させるなど、国民の基本権を広範囲に制限する内容を含めている。
この事件の布告令第6項は「反国家勢力など体制転覆勢力を除く善良な一般国民は、日常生活に不便を最小化できるよう措置する」と規定しているが、「善良な一般国民」と「日常生活に不便」が意味することが不明確であり、執行期間がこれを恣意的に解釈する危険があるだけでなく、上記の規定を勘案してもこの事件の布告令による基本権の制限が危機状況の直接的な原因を除去するために必要不可欠な最小限度の範囲内で行われたと見ることはできない。
それなら、被請求人は憲法第77条第3項及び戒厳法第9条第1項を違反してこの事件の布告令を発令させることで、国民の政治的基本権、言論・出版・集会・結社の自由、政党の自由、団体行動権、職業の自由、身体の自由を侵害した。
(7) 令状主義違反の有無
憲法第12条第3項の本文は、「逮捕·拘束·押収又は捜索を行うときは、適法な手続きに従い、検事の申請により法官の発布した令状を提示しなければならない」と規定し、憲法第16条は「住居に対する押収又は捜索をするときは、検事の申請により法官が発布する令状を提示しなければならない」と規定することで、令状主義を憲法的な次元で保障している。我が国の憲法が採択してきた令状主義は、刑事手続きと関連して逮捕・拘束・押収・捜索の強制処分をするにあたっては、司法権独立によって身分が保障される法官が発布した令状によらなければならないという原則である。したがって、憲法上の令状主義の本質は逮捕・拘束・押収・捜索など基本権を制限する強制処分をするにあたっては、中立的な法官の具体的判断を経るべきだということにある(憲法裁2018.6.28. 2012憲マ191など参照)。
非常戒厳地域で軍事上の必要が認められ、特別な措置として事前令状主義の例外を認める場合にも、令状主義の本質を侵害することは許されないので、捜査機関の強制処分が令状なしになされる場合、早い時間内に法官による事後審査が行われるような装置が整えられなければならない(憲法裁2012.12.27. 2011憲ガ5; 憲法裁2013.3.21. 2010憲バ132など参照)。
被請求人はこの事件の布告令を通じて「一切の政治活動」、「自由民主主義体制を否定し、又は転覆を企てる一切の行為」、「社会混乱を助長するストライキ・怠業・集会行為」など広範囲な行為を禁じ、その違反者に対して令状なしに逮捕・拘禁・押収・捜索ができるようにした。これはいかなる制約条件も設けず、法官の具体的な判断なしに逮捕・拘禁・押収・捜索ができるようにし、これに対して法官による事後的な審査装置も設けなかったことであるので、国家緊急権が発動される状況だとしても守られるべきの令状主義の本質を侵害したことである。
(8) 憲法による国軍統帥義務など違反の有無
前述したように、被請求人は国会との対立状況を打開するなどの意図で、戒厳司令官にこの事件の布告令を発令させた。 したがって、被請求人は国軍の政治的中立性に反して国軍統帥権を行使したので、憲法第5条第2項及び第74条第1項を違反した。
(9) 小結
被請求人は戒厳司令官にこの事件の布告令を発令させることで、憲法第5条第2項、第74条第1項、第77条第5項、代議民主主義、権力分立の原則を違反し、国民の代表である国会議員の審議・表決権など憲法上の権限を侵害し、地方自治の本質的内容を侵害し、憲法第8条、国民主権主義及び自由民主的基本秩序を違反した。ひいて、被請求人はこの事件の布告令を通じて憲法第77条第3項及び戒厳法第9条第1項、令状主義を違反し、国民の政治的基本権、言論・出版・集会・結査の自由、政党の自由、団体行動権、職業の自由、身体の自由を侵害した。
8. 中央選管委に対する押収・捜索に関する判断
A. 認定事実
(1) 被請求人は2023年行われた選管委に対する国家情報院の保安点検の後にも不正選挙に関する疑惑が解消されていないとしながら、「選管委は憲法機関であり、司法府関係者らが委員を勤めていて平時状況には令状による押収・捜索が事実上不可能である」という理由を挙げ、国防部長官の金龍顕に非常戒厳が宣布されれば、これを機に兵力を動員して選管委の電算システムを全般的に点検するよう指示した。
(2) 情報司令部所属の軍人10余り人は、この事件の戒厳宣布の直後、中央選管委果川庁舎に入り、夜間当職者たちの携帯電話を押収し、彼らに対する行動監視及び外部連絡の遮断、出入統制をし、統合選挙人名簿システムのサーバーなど電算システムを撮影した後に待機したが、非常戒厳解除要求決議案が可決された後に撤収した。
陸軍特殊戦司令部所属の軍人たちは中央選管委の果川庁舎、冠岳庁舎、水原研修院(以下、上記の三つの庁舎を合わせて「中央選管委庁舎」という)に出動し、中央選管委果川庁舎の場合は建物の内外部で、残りの場合は建物の外部でそれぞれ警戒勤務をし、非常戒厳解除要求決議案が可決された後、撤収した。
A. 認定事実
(1) 被請求人は2023年行われた選管委に対する国家情報院の保安点検の後にも不正選挙に関する疑惑が解消されていないとしながら、「選管委は憲法機関であり、司法府関係者らが委員を勤めていて平時状況には令状による押収・捜索が事実上不可能である」という理由を挙げ、国防部長官の金龍顕に非常戒厳が宣布されれば、これを機に兵力を動員して選管委の電算システムを全般的に点検するよう指示した。
(2) 情報司令部所属の軍人10余り人は、この事件の戒厳宣布の直後、中央選管委果川庁舎に入り、夜間当職者たちの携帯電話を押収し、彼らに対する行動監視及び外部連絡の遮断、出入統制をし、統合選挙人名簿システムのサーバーなど電算システムを撮影した後に待機したが、非常戒厳解除要求決議案が可決された後に撤収した。
陸軍特殊戦司令部所属の軍人たちは中央選管委の果川庁舎、冠岳庁舎、水原研修院(以下、上記の三つの庁舎を合わせて「中央選管委庁舎」という)に出動し、中央選管委果川庁舎の場合は建物の内外部で、残りの場合は建物の外部でそれぞれ警戒勤務をし、非常戒厳解除要求決議案が可決された後、撤収した。
国軍防諜司令部所属の軍人たちは不正選挙疑惑に関する資料を確認できるように中央選管委庁舎のサーバーなど電算システムを確保せよという指示を受けて出動したが、法務室の検討意見により目的地に到着する前に待機し、非常戒厳解除要求決議案が可決された後、撤収した。
B. 判断
(1) 令状主義違反の有無
(a) 被請求人は令状による押収・捜索を通じた不正選挙の疑惑確認が事実上に不可能であるなどの理由で、軍人を動員した有形力を行使して選管委の電算システムを点検するようにしたというところ、これは結局令状のない押収・捜索の強制処分を指示したことと見ることができる。前述したように、現行憲法上、押収・捜索は第77条第3項、第12条第3項、第16条で厳格な要件の下においてのみ許される例外に該当しない限り、法官が発布した令状によらなければならない。
(b) まず、憲法第77条第3項に規定された例外に該当するかどうか見る。上記の条項及び戒厳法第9条第1項によると、非常戒厳地域で「軍事上必要なとき」戒厳司令官が押収・捜索に対して特別な措置をすることができるが、この場合、「戒厳司令官はその措置内容を予め公告」しなければならない。しかし、前述したように、この事件の戒厳宣布の当時の状況が上記条項の特別な措置が軍事上必要な場合だったと見ることはできず、戒厳司令官の朴安洙が関連の措置内容を事前に公告したこともない。したがって、憲法第77条第3項に規定された例外の条件は満たされない。
(c) 次に、憲法第12条第3項但書及び第16条後文の解釈上認められる例外に該当するかどうかについて見る。憲法第3項但書は「現行犯人である場合と長期3年以上の刑に該当する罪を反し、逃避又は証拠隠滅の懸念があるときは、事後に令状を請求することができる」とし、令状主義の例外を明文で認め、憲法第16条後文はその解釈上「その場所に犯罪の疑いなどを立証できる資料や被疑者が存在する蓋然性が疎明され、事前に令状を取りにくい緊急な事情がある場合」令状主義の例外を許容する(憲法裁2018.4.26. 2015憲バ370)。被請求人は選管委が憲法機関で、司法関係者らが委員を務めており、令状による押収・捜索が事実上不可能だという理由を挙げているが、前述したように選管委は押収·捜索に応じてきており、そのような理由だけで事前に令状を取りにくい緊急な事情などを認めることはできない。しがたって、憲法第12条第3項但書及び第16条後文の解釈上認められる例外の要件も満たされない。
(d) 結局、被請求人が選管委に対して令状のない押収・捜索をさせた行為は、令状主義に違反する。
(2) 選管委の独立性侵害の有無
(a) 今日の代議民主主義で、選挙は国民が代表者を決定・構成する方法であり、選出された代表者に民主的正当性を付与することで、国民主権主義の原理を実現する核心的な役割を遂行する。選挙管理が公正でなければ、その選挙は本来の民主政治的機能を発揮できず、一つの形式的な機能にとどまってしまうだろう。選挙管理事務の担当機関を、一般行政機関とは別の独立機関で構成しなければならないという要請が出ているのも、このためである(憲法裁2008.6.26. 2005憲ラ7; 憲法裁2025.2.27. 2023憲ラ5参照)。
(b) 行政府によって官権選挙が行われたいわゆる3・15不正選挙で代議民主主義と国民主権主義の危機を経験した我が国の国民は、憲法的決断を通じて1960.6.15.憲法改正(第3次改正憲法)以来に選挙管理事務を行政府から機能的・組職的に分離し、独立した憲法機関に任せている。現行憲法も第7章で「選挙管理」という表題の下に選挙と国民投票の公正な管理及び政党に関する事務の処理を担当する独立した合意制憲法機関として選挙管理委員会を設け、その構成に大統領、国会、大法院長が同等に参与しようとし、委員の任期と身分を保障し、規則制定権も付与している(第114条)。選挙管理事務はその性格上に行制作用に該当するにもかかわらず、我が国の憲法が上記のように該当事務の主体を独立した合意制憲法機関として規定しながら、その独立性と中立性を強調する体系を選んだのは、公正な選挙管理のためには外部の権力機関、特に大統領を首班とする行政府の影響力を制度的に遮断しなければならないという確固たる意思が反映されたことである(憲法裁2025.2.27. 2023憲ラ5参照)。
(c) しかし、被請求人は憲法と法律が予定していない方法で軍隊を動員し、中央選管委の庁舎に無断で入り、選挙管理に使われる電算システムを押収・捜索するようにした。これは選管委の選挙管理事務に対する不当な干渉であり、選挙が持つ本来の民主政治的機能に脅威を与える行為で、選管委の独立性を徹底に保障しようとする我が国の憲法の趣旨に反するものである。
(3) 被請求人の主張に対する判断
被請求人は選管委の電算システムに対する点検が、戒厳法第7条第1項により戒厳司令官が管掌する行政事務の執行の次元で行われたものであると主張する。しかし、我が国の憲法が選挙管理事務を一般行政事務と機能的に分離して規定しているという点に注目すれば(憲法裁2008.6.26. 2005憲ラ7参照)、選挙管理事務には原則的に上記の条項が適用されにくいと言えるし、たとえ適用される余地があるとしても被請求人の主張は次のような理由で受け入れられない。
上記の条項の趣旨は、戦時・事変又はこれに準ずる国家非常事態で行政機能の遂行が顕著に困難な場合に、戒厳司令官がその機能が麻痺しないように防止し、又は正常に維持・回復できるようするために必要な措置ができるようにしたことである。したがって、該当機関の通常的な機能遂行を全面的に引き受けると言う意味ではなく、戒厳目的の達成に必ず必要な限度内で該当機関の担当事務が正常に遂行できるようにする個別的・具体的措置に限ってできるという意味と見るのが相当である。選管委は選挙と国民投票の公正な管理及び政党に関する事務を遂行しており(憲法第114条第1項)、この事件の戒厳宣布の当時に選管委が上記の事務を正常に遂行できない状態になかった。被請求人は不正選挙に関する疑惑を解消する必要があったと主張するが、これを理由とする電算システムの点検が選管委の機能が麻痺するのを防止し、又はこれを維持・回復するために兵力を動員してまで必ず取らなければならない措置に該当するとは考え難い。
(4) 小結
それなら、被請求人は令状主義の例外に該当する自由がないにもかかわらず、選管委に対して令状なしに押収・捜索するようにすることで、令状主義を違反し、行政部首班の地位から独立した憲法機関の選管委に対して、憲法と法律が予定していない方法で軍隊を動員した押収・捜索を行うことで、選管委の独立性も侵害した。
9. 法曹人に対する位置確認試みに関する判断
A. 認定事実
被請求人がこの事件の戒厳宣布の直後、国家情報院1次長の洪壮源に電話して国軍防諜司令部を助けるように言った事実、その頃国軍防諜司令部の呂寅兄は国防部長官の金龍顕からこの事件の名簿の人々に対して位置確認など動静を確認するよう指示され、趙志浩に位置確認を要請したという事実、洪壮源が呂寅兄に電話し、被請求人の電話を受けたと言うと、呂寅兄がこの事件の名簿とほとんど一致する名簿を呼びながら位置確認を要請したという事実、この事件の名簿の人々に対する位置確認は実際に行われなかったという事実などは前述したようである。このような事実に照らしてみれば、被請求人がこの事件の名簿の人々に対して逮捕まで指示したかどうかは不明確であるとしても、必要時に逮捕する目的で行われた上記の人々に対する位置確認試みが被請求人の意思と関係なくなされたとは見難い点も前述したことと同じである。しかし、この事件の名簿には前大法院長の金命洙及び前大法官の権純一も含まれていた。
B. 判断
(1) 司法権の独立侵害の有無
(a) 憲法第101条第1項は、司法権を法官で構成された法院に属するよう規定して組織・運営・機能の面で法院の独立を保証し、第103条は法官が裁判を行うにあたり、法と良心による拘束以外にいかなる外部的な圧力や干渉を受けないように法官の職務上独立、すなわち裁判上独立を保障している。また、憲法は法官の資格を法律で定めるようにし、任期を保障する一方、恣意的な罷免や不利益な処分を受けないようにするなど、法官の身分も保障している(第101条第3項、第105条、第106条第1項)。このような法院の独立、法官の裁判上独立、身分保障などはすべて司法権の独立を構成する要素である。司法権の独立は、権力分立の原則を中枢的内容の一つとする自由民主主義体制の特徴的指標であり法治主義の一要素を成すと同時に、憲法第27条で保障する国民の裁判請求権が正しく行使されるようにするための側面でその意義がある(憲法裁2016.9.29. 2015憲バ331参照)。また、司法部が行政部及び立法部をけん制するにも重要な役割を遂行するため、すべての国家機関には司法権の独立を守り尊重する義務があり、過度な干渉や統制などでこれを侵害してはならない。
(b) 行政府の首班である被請求人は、退任して間もない前最高裁判所長の金命洙及び前最高裁判官のクォン・スンイルに対し、必要時に逮捕する目的で行われた位置確認指示に関与した。これは現職の法官にいつでも行政府によって逮捕対象になりうるという圧力を与え、所信のある裁判業務の遂行に重大な脅威となりかねない(憲法裁1992.11.12. 91憲ガ2参照)。このように個別法官の身分保証及び裁判上独立に脅威を与える行為は、最終的に法院全体の独立を揺るがす結果につながり、国民の公正な裁判の受ける権利を保証し、法治主義及び権力分立の原則を実現するために設けられた司法権独立の制度的基盤まで崩すことができる。
(2) 小結
それなら、被請求人は行政部首班の地位で、前最高裁判所長の金命洙及び前第法官の権純一に対し、必要時に逮捕する目的で行われた位置確認指示に関与することで、司法権の独立を侵害した。
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言及された法条文
大韓民国憲法
第5条 第2項 国軍は国家の安全保障及び国土防衛の神聖な義務を遂行することを使命とし、その政治的中立性は、これを遵守する。
第8条 第1項 政党の設立は自由であり、複数政党制は、これを保障する。
第12条 第3項 逮捕·拘束·押収又は捜索を行うときは、適法な手続きに従い、検事の申請により法官の発布した令状を提示しなければならない。但し、現行犯人である場合及び長期三年以上の刑に該当する罪を犯し、逃避又は証拠隠滅のおそれがあるときは、事後に令状を請求することができる。
第16条 すべての国民は、住居の自由を侵害されない。住居に対する押収又は捜索をするときは、検事の申請により法官が発布する令状を提示しなければならない。
第27条 第1項 すべての国民は、この憲法及び法律の定める法官により、法律による裁判を受ける権利を有する。
第27条 第2項 軍人又は軍務員でない国民は、大韓民国の領域内においては、重大な軍事上の機密・哨兵・哨所・有毒飲食物供給・捕虜・軍用物に関する罪のうち法律の定める場合及び非常戒厳が宣布された場合を除いては、軍事法院の裁判を受けない。
第27条 第3項 すべての国民は、迅速な裁判を受ける権利を有する。刑事被告人は、相当の理由がない限り、遅滞なく公開裁判を受ける権利を有する。
第27条 第4項 刑事被告人は、有罪の判決が確定するときまでは、無罪と推定される。
第27条 第5項 刑事被害者は、法律の定めるところにより、当該事件の裁判手続きで陳述することができる。
第40条 立法権は、国会に属する。
第44条 第1項 国会議員は、現行犯人である場合を除いては、会期中国会の同意なく逮捕又は拘禁されない。
第66条 第4項 行政権は大統領を首班とする政府に属する。
第74条 第1項 大統領は、この憲法及び法律の定めるところにより国軍を統帥する。
第76条 第1項 大統領は、内憂・外患・天災・地変又は重大な財政・経済上の危機において、国家の安全保障又は公共の安寧秩序を維持するために緊急の措置が必要で、且つ国会の集会を待つ余裕のないときに限り、最小限に必要な財政・経済上の処分をし、又はこれについて法律の効力を有する命令を発することができる。
第77条 第1項 大統領は戦時·事変又はこれに準じる国家非常事態において兵力により軍事上の必要に応じ、又は公共の安寧秩序を維持する必要があるときは、法律の定めるところにより、戒厳を宣布することができる。
第77条 第3項 非常戒厳が宣布されたときは、法律の定めるところにより、令状制度、言論·出版·集会·結社の自由、政府や法院の権限について、特別な措置をすることができる。
第77条 第5項 国会が在籍議員の過半数の賛成により、戒厳の解除を要求したときは、大統領は、これを解除しなければならない。
第101条 第1項 司法権は、法官で構成される法院に属する。
第101条 第3項 法官の資格は、法律でこれを定める。
第105条 第1項 大法院長の任期は、六年とし、重任することができない。
第105条 第2項 大法官の任期は、六年とし、法律の定めるところにより、再任することができる。
第105条 第3項 大法院長及び大法官ではない法官の任期は、10年とし、法律の定めるところにより、再任することができる。
第106条 第1項 法官は、弾劾又は禁錮以上の刑の宣告によらなければ、罷免されず、懲戒処分に寄らなければ停職·減俸その他不利な処分を受けない。
第114条 第1項 選挙及び国民投票の公正な管理及び政党に関する事務を処理するため、選挙管理委員会を置く。
第114条 第2項 中央選挙管理委員会は、大統領が任命する三人、国会から選出する三人及び大法院長の指名する三人の委員で構成する。委員長は、委員の中から互選する。
第114条 第3項 委員の任期は、6年とする。
第114条 第4項 委員は、政党に加入し、又は政治に関与することができない。
第114条 第5項 委員は、弾劾又は禁錮以上の刑の宣告に依らなければ、罷免されない。
第114条 第6項 中央選挙管理委員会は、法令の範囲内において選挙管理・国民投票管理又は政党事務に関する規則を制定することができ、法律に抵触しない範囲内において內部規律に関する規則を制定することができる。
第114条 第7項 各級選挙管理委員会の組織・職務範囲その他必要な事項は、法律で定める。
第115条 第1項 各級選挙管理委員会は、選挙人名簿の作成等選挙事務及び国民投票事務に関して関係行政機関に必要な指示をすることができる。
第115条 第2項 第1項の指示を受けた当該行政機関は、これに応じなければならない。
第117条 第1項 地方自治団体は、住民の福利に関する事務を処理し、財産を管理し、法令の範囲内において自治に関する規定を制定することができる。
第117条 第2項 地方自治団体の種類は、法律で定める。
第118条 第1項 地方自治団体に議会を置く。
第118条 第2項 地方議会の組織・権限・議員選挙及び地方自治団体の長の選任方法その他地方自治団体の組織及び運営に関する事項は、法律で定める。
戒厳法
第2条 第2項 非常戒厳は大統領が戦時·事変又はこれに準ずる国家非常事態のとき、敵と交戦状態にあったり社会秩序が極度に撹乱され、行政及び司法機能の遂行が顕著に困難な場合に軍事上の必要に応じ、又は公共の安寧秩序を維持するために宣布する。
第7条 第1項 非常戒厳の宣布と同時に、戒厳司令官は、戒厳地域のすべての行政事務と司法事務を管掌する。
第9条 第1項 非常戒厳地域で戒厳司令官は軍事上に必要な時には逮捕·拘禁·押収·捜索·居住·移転·言論·出版·集会·結社又は団体行動に対して特別な措置をすることができる。 この場合、戒厳司令官は、その措置内容を予め公告しなければならない。
第13条 戒厳施行中、国会議員は現行犯人である場合を除いては、逮捕又は拘禁されない。
第14条 第2項 第8条第1項による戒厳司令官の指示若しくは第9条第1項又は第2項による戒厳司令官の措置に従わず、又はこれを違反した者は、三年以下の懲役に処する。
国会法
第143条 議長は、会期中に国会の秩序を維持するため、国会内で警護権を行使する。
第144条 第1項 国会の警護のために、国会に警衛を置く。
第144条 第2項 議長は、国会の警護のために必要なときは、国会運営委員会の同意を得て、一定の期間を定め、政府に警察公務員の派遣を要求することができる。
第144条 第3項 警護業務は議長の指揮を受けて遂行するが、警衛は会議場の建物の中で、警察公務員は会議場の建物の外で警護する。
第148条の3 何人も、議員が本会議又は委員会に出席するために本会議長若しくは委員会会議場に立ち入ることを妨害してはならない。
第151条 会議場には議員、国務総理又は政府委員、その他に議案審査に必要な者と議長が許可した者以外は出入できない。
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