尹錫悦大統領弾劾審判決定文全文(5) + 言及された法条文及び憲法裁判事件番号の解説
10. 被請求人を罷免するかの可否 A. 法違反の重大性に関する判断基準 前述したように、憲法裁判所法第53条第1項は、「弾劾審判請求が理由のある場合」被請求人を罷免する決定を宣告するよう規定しており、大統領に対する弾劾審判事件において「弾劾審判請求が理由のある場合」とは、大統領の罷免を正当化できるほど重大な憲法や法律違反があるときを言う(憲法裁2017.3.10. 2016憲ナ1参照)。 大統領の罷免を正当化できる憲法や法律違反の重大性を判断する基準は、弾劾審判の手続きが憲法を守護するための制度であるという観点と、罷免決定が大統領に与えた国民の信任を剥奪するという観点から探せる。弾劾審判の手続きが究極的に憲法の守護に寄与する手続きという観点から見れば、罷免決定を通じて損傷した憲法秩序を回復することが要請されるほど、大統領の法違反行為が憲法守護の観点で重大な意味を持つ場合に罷免決定が正当化される。また、大統領が国民から直接に民主的正当性を与えられた代議機関という観点から見れば、大統領に与えた国民の信任を任期中に剥奪しなければならないほど、 大統領が法違反行為を通じて国民の信任を裏切った場合に限って、大統領に対する弾劾事由が存在すると見なければならない (憲法裁2004.5.14. 2004憲ナ1; 憲法裁2017.3.10. 2016憲ナ1参照)。 B . 判断 (1) 憲法守護の観点から法違反が重大かの可否 (a) 国民主権主義及び民主主義に対する違反 憲法第1条第1項は「大韓民国は民主共和国である」と規定して民主主義を統治形態として採択しており、憲法第1条第2項は「大韓民国の主権は国民にあり、すべての権力は国民から生じる」と規定して 国家権力の根源と主体が国民であり、国民だけが国家の政治的支配に正当性を付与できるという国民主権主義を宣言している 。これは国家権力の形成と行使が国家の特定階級や特定集団によって独占的に支配されないという点を明確にしたものである。 憲法第40条、第41条第1項、第66条第4項、第67条第1項は代議民主主義を採択することで、民主主義の原理を具体化している。 代議民主主義で主権者である国民は選挙を通じて国会議員を選出し、国会議員は国民の代表として国民に対して自身の決定に対する政治的責任を負う。国会は、国民の代表で構成された多元的...